僕は貴女を「お姉ちゃん」だと思ったことは一度もない。
第2章 1年生と1年生
鈴は中学で、何故か吹奏楽部に入部していた。あれ?たしか、入学前はバレー部かテニス部に入りたいって言っていたような気がしたんだけど?? そう思って聞いてみたら、入学式後の新入生歓迎の集いで初めて生で聴いた吹奏楽部の演奏に感動して、入部先を変えたんだそうだ。元々、鈴が運動系の部活に入りたがっていた理由は、小学校での男子からのイジメが原因だったらしい。体を鍛えて強くなって、イジメられないようにするために運動部を希望していたけど、女子校に進学したらそもそもイジメてくる相手がいなくなったから、それが必要なくなったのもあるみたい。てか、イジメてたのって男子だけだったのか。それって…ただ単に、男子特有の「好きな女の子には意地悪をしてしまう」ってやつなんじゃないのか??
「ホントはね、フルートがやりたかったんだけど、希望者が多くて、あみだくじしたら外れちゃって。だからトランペットになったんだ」
「へぇ…」
「でも、やり始めたら愛着湧くよ。今じゃ、フルートよりもトランペットのほうが好きかな」
トランペットのことを言ってるだけなのに、鈴の口から「好き」という言葉を聞いてちょっとドキッとした。初めて会った時と同じ公園で、ブランコではなくベンチに並んで座って、鈴は持っていたケースを開けて自慢のトランペットを見せてくれた。
「吹いてみてよ」
「こんな、住宅街の中の小さな公園じゃ無理だよ、もっと広いところじゃないと。けっこう音がおっきいんだよ。近所迷惑になっちゃう」
「真似だけでもいいから」
鈴がトランペットをくわえる姿が見てみたくて、お願いしてみたけど、ダメだった。
「えー、それじゃ意味ないじゃん。いつきがさ、補助輪無しで自転車に乗れるようになったら、一緒にちょっと遠くの広い公園に行こうよ。そこでなら聞かせてあげる」
「ホントはね、フルートがやりたかったんだけど、希望者が多くて、あみだくじしたら外れちゃって。だからトランペットになったんだ」
「へぇ…」
「でも、やり始めたら愛着湧くよ。今じゃ、フルートよりもトランペットのほうが好きかな」
トランペットのことを言ってるだけなのに、鈴の口から「好き」という言葉を聞いてちょっとドキッとした。初めて会った時と同じ公園で、ブランコではなくベンチに並んで座って、鈴は持っていたケースを開けて自慢のトランペットを見せてくれた。
「吹いてみてよ」
「こんな、住宅街の中の小さな公園じゃ無理だよ、もっと広いところじゃないと。けっこう音がおっきいんだよ。近所迷惑になっちゃう」
「真似だけでもいいから」
鈴がトランペットをくわえる姿が見てみたくて、お願いしてみたけど、ダメだった。
「えー、それじゃ意味ないじゃん。いつきがさ、補助輪無しで自転車に乗れるようになったら、一緒にちょっと遠くの広い公園に行こうよ。そこでなら聞かせてあげる」