テキストサイズ

僕は貴女を「お姉ちゃん」だと思ったことは一度もない。

第9章 怪我の功名?

今日は失敗続き(人違いしたり、ケガしたり)なので、普段は嬉しいはずの中村君からの着信も、なんとな~く気が重い。わたし、今度は何をやらかしたんだろう…。

「……もしもし」

とりあえず、出ないわけにもいかないので、出てみる。

「あっ、石井さん?のスマホだよね?なんかいつもと声のトーン違うけど…もしかしてまだ手首痛い?大丈夫?」
「あっ、いや…。大丈夫よ、大丈夫」

…ヤバいヤバい、声だけでわかるほどテンション落ちてたみたい。

「うちの伯母さんにさ、鈴ちゃんの話したらご飯一緒にどうかって」
「えっ??」
「ほら、手を怪我しちゃったから、自炊も大変だろ?おばさんが、ご飯作ってくれるからさ、一緒に食べに行こうよ」
「そんな、申し訳ないよ…」
「兄貴とか他の吹奏楽部の連中も一緒だし、新入部員歓迎会だと思ってさ!」
「なんで新入部員歓迎会で伯母さんが…?」
「あぁ、うちの伯母さん、吹奏楽部OGで、フルート吹きなんだよ!」
「えー、すごい!音楽一家なんだね」

…っていうか、伯母さんはトロンボーンじゃなくてフルートなんだ…。

「いや、そんなことないよ。父さんも母さんも全然やらない人だし」

一族の中で、4人も音楽に関わってるんなら充分『音楽一家』って言っていいと思うの。しかもそのうちの3人が同じ大学の吹奏楽部(一人は卒業生だけど)とか、なかなか無いよね。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ