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僕は貴女を「お姉ちゃん」だと思ったことは一度もない。

第11章 理想と現実

コンサートまでの2ヶ月間は練習、練習、練習の毎日。

練習日が多過ぎて、この時期にバイトを辞める子もいるそうで、私も辞めるかどうか悩み中。辞めない場合でも、シフトはかなり減らすことになる。あと、インターンとかが始まる3年生はほとんど参加してなくて、1、2年生と4年生(卒業後の進路がもう決まってて余裕のある人)によるコンサートになる。

そして…

「24日が高校生以上対象の一般向けコンサート、25日が子連れOKの親子向けコンサートよ。曲目は同じだけどね」

クリスマスイブと当日、2日間ともコンサートやるらしい。

あれ? 私のとっては人生で初めての『恋人と二人で過ごせるクリスマス』の予定だったんだけど???

コンサート本番が約2時間、準備と撤収にそれぞれ1時間ずつで、計4時間。これを、2日間。

もちろん、演奏は、楽しい!

好きでやってる吹奏楽だし、練習の成果が実って、それぞれの楽器の音と音が重なり合ってピッタリハモった時の、体の奥から沸きあがる武者震い? 体の芯がしびれるような感覚は何とも言えない。

でも、なんか、なんだかなぁ、って気持ちもあって。

忙しくなり始めてから1ヶ月、最近全然、啓くんと会話してないな…。

一人暮らしの部屋に帰って来て、すぐに電気とエアコンを付ける。御守みたいに大切しているお気に入りのノートを開く。

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