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僕は貴女を「お姉ちゃん」だと思ったことは一度もない。

第12章 冬休み

「そんなつもりで言ったんじゃないよ」
「私たちはさ、お互いに、お互いのいいとこだけしか見てなかったような気がするの」
「……。」
「お互いに、自分の中に『理想の恋人像』みたいなのがあって、フィルターかかった状態で相手を見てて、相手の情けない姿は見たくないし、自分の弱さとか醜さも見せたくない、表面的な関係」
「じゃあ、これからは、全部さらけ出せばいいよ。全部受け止めるよ」
「無理……」
「なんで」
「とりあえず、バーガー食べなよ。冷めたら美味しくないよ。私も、チーズボール貰うね」

涙がしょっぱいのか、チーズの塩っ気なのか、わからなくなりながら、チーズボールをほおばる。

全部をさらけ出せば、きっと啓くんは私に幻滅する。啓くんは、私に幻想を抱いている。だって私が、取り繕って演じてきたから…。嫌われたくなくて、背伸びして、でもそれに疲れてだんだん会う機会が減って…。
悪いとこダメなとこ全部見せて幻滅されてから別れるより、今このまま別れたほうが、きっとこれからの為にもいい。吹奏楽部にいる以上、別れても「同じ部の仲間」っていう繋がりは残るのだから。

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