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僕は貴女を「お姉ちゃん」だと思ったことは一度もない。

第12章 冬休み

新幹線に乗り、在来線に乗り換え、最寄り駅からはタクシーを使い、約3時間。もうすぐお昼という頃、ようやく帰宅。

「ただいま~」

ミャー!

「えっ? みゃぁ??」

懐かしの我が家に帰って来て、玄関ドアあけて一番最初に出てきたのは、白黒の子猫だった。

「あら、鈴、お帰り~」
「お母さん、この猫どしたの?」
「今年の夏ごろから飼い始めたのよ!チョビくん、可愛いでしょ?」
「可愛い、けど、あぁ~っ、痛い痛い痛い!!」

とがった細い爪でふくらはぎを引っ掛かれた。

「チョビにとってはあんたのほうが後から来た新参者だからね」

お母さんが子猫を抱き上げながら言う。

「なんで私が…」
「だってあんた、夏休み帰ってこなかったじゃない」
「まぁ、そうだけど」

チョビは白が多めの白黒柄で、背中の一部と尻尾、右耳と、あと、ひげ袋のところにちょっと黒い毛があった。

「チョビって名前…」
「ほら、ここの黒いのがちょび髭みたいに見えるでしょ?」

やっぱり。

「名付けたのって」
「お兄ちゃんよ」

へー。意外。お兄ちゃんってあんまり動物とか興味無さそうな印象なのに、お兄ちゃんが名付け親なんだ…。

「とりあえず、荷物を部屋に置いてきなさい」
「はぁ~い」

突然の猫登場に驚いて、靴も脱がずに玄関先で立ち話をしてしまったことに気付き、靴を脱いで自分の部屋へと向かう。

そして、部屋に入って二度目のビックリ。
大きめのケージと、キャットタワー…。私の部屋がっ、私の部屋がっ!!チョビの部屋にされてる!!

部屋の隅にバッグを置いてから、リビングに戻る前に洗面所に手を洗いに寄ると、そこには猫トイレがあった。

そしてキッチンには、猫のエサ皿、リビングに2つ目のキャットタワー…。


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