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僕は貴女を「お姉ちゃん」だと思ったことは一度もない。

第13章 初詣、再び。

“年が離れてる”とか、“小さい頃から知ってる子”とか、そういう先入観というか、色眼鏡で見るのやめて、今・現在のありのままの樹くんを見てあげなよ、そんなことをサキちゃんに言われたので、あらためて樹くんを観察してみる。

背が伸びて、体つきも前よりがっしりしてきて、声も低くなって…。

「樹、大きくなったねぇ~。残念だけど、今の樹じゃ、もう女装は出来なさそうね」

出てきた感想は「大きくなったねぇ~」だった。
従弟の成長を見守るような、あるいは甥っ子の成長を見守るような、そんな気分だ。まぁ、従弟も甥っ子もいないけど。1年ぶりに会って「大きくなったねぇ」と感じるあたり、たしかに『弟』ではないかもしれない。

「止めてよ。俺の中じゃ黒歴史なんだから」
「えー、けっこう似合ってたよ??」
「だから、黒歴史なの!!」

去年と同じ神社に行く。歩いてでも行ける近所の神社じゃなくて、わざわざバスに乗ってまで去年と同じ神社に行くことになった理由は、サキちゃんの

「去年、ここで合格祈願して、無事に合格したんだったら、その御礼と報告がいるでしょ?」

という言葉から。でも…


「合格祈願の御礼と報告って翌年の初詣でいいの?普通、もっと早めに行くべきものなんじゃ」

疑問をぶつけてみる。

「行かないよりは、行ったほうがいいでしょ。それとも、合格後に行ってる?」
「行ってない…」

で、同じ神社へ行くことになったのだ。

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