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僕は貴女を「お姉ちゃん」だと思ったことは一度もない。

第13章 初詣、再び。

初詣が無事終わり、さて、帰ろうとなった時…

「ごめん!ちょっとさ、美羽ちゃん借りていい?」
「えっ?」
「モデルになってもらいたくて…」
「モデル?」
「冬休みの課題で、小学校高学年から中学生ぐらいの女の子向けの服を製作中なの。それで、ちょっと助けてほしいなぁ、って」
「あぁ~…」

サキは地元の女子短大の服飾学部服飾学科に通っている。短大は、四年制大学が4年間かけてやる内容を2年でやるから、在学中は凄く忙しい、らしい。そうじゃなくて2年なりの内容だけで済ませる大学もあるんだろうけど、サキのとこは短大だけど難しいって有名なとこだから、たぶん前者だ。

「サキさんって、服を作る人目指してるんですか!てっきりメイクアップアーティストとか、そういうの目指してるんだと思ってた!!」

美羽ちゃんが目をキラキラさせて、尊敬のまなざしでサキを見つめている。

「最終的にはね、舞台に関わりたいの。衣装製作とかメイクとか」
「舞台…舞台女優とか、演じる側は目指さないんですか?」
「高校時代、演劇部でいろいろやってみて、気付いたの。私、そっちは向いてないな、って。でも舞台は好きだから、だったら衣装とかメイクとか裏方で関わっていこうって」
「へぇ~」
「そういうわけだから、ちょっと美羽ちゃんに付き合ってもらっていい?終わったら家まで送るから」

サキちゃんと美羽が、別路線のバスに乗って行ってしまい、私は樹と二人になった。

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