テキストサイズ

僕は貴女を「お姉ちゃん」だと思ったことは一度もない。

第13章 初詣、再び。

「なんか、珍しいよね。樹と二人きりって」
「うん」

二人で並んで歩く、と、以前は目線が斜め下だったのに、今ではほとんど横並びなことに気付く。あぁ、これからどんどん大きくなっていくんだろうなぁ…。

「樹はさ、サキちゃんのことが好きなのかなって思ってた」
「……僕は、みんなのことが好きだよ。サキさんも、鈴姉も、美羽も、父さんも母さんも、和兄も。…色白メガネ君は苦手だったけど」
「色白メガネ?」
「あの、塾で一緒だったヒョロ~っとしたメガネ野郎」
「あぁ…。そんなあだ名つけてたの」
「そう言えばさ、合格発表の時に電話してた、同じ大学の彼は、元気?」
「うーん…、別れちゃった」
「えっ?! なんで別れたの??」
「別れたことに驚く前に、まずは付き合ってたことに驚いてよ。彼氏が出来た報告も、してなかったでしょ?」
「夏休みに帰ってこなかった時点で、なんとなく想像はついたよ。今、楽しい時期なんだろうなぁって」

こいつ、中学生のくせに鋭いな…。観察力?推察力?あ、洞察力かな?

「好きと憧れは違うんだなってとこかな。あと理想と現実のギャップ?」
「遠くから眺めてた時はカッコいいなぁって思ってたけど、付き合い始めて、近くで会話するようになったら息が臭かったとか?」
「いや、付き合う前から友達だったから、それなら気付くってば!なんでよりによって息…」
「いや、なんとなく」
「そうじゃなくてね。なんだろ。背伸びして付き合うのに疲れた感じ?」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ