テキストサイズ

てのひらの福袋

第12章 コノカラダヲ ヌギタイ

私はごくごく普通の女の子だった。
12歳の誕生日までは…。

あの日、誕生日パーティでたくさんの料理を食べた。お馴染みの大好物もあれば、初めて食べるものもあった。
楽しかったけど、途中からお腹が痛くなった。食べ過ぎた?

最初は単なる食べ過ぎによる胃もたれか、もしくはちょっとした食あたりだと思った。しばらくすれば治ると思っていた。
でも、違った。アレルギーを発症していた。最初に発症したのは、海老と蟹の食物アレルギーだった。

あれから7年。アレルギー反応の起きる食品は日に日に増えてきて、食べられないものがどんどん増えてきた。
柑橘類、卵、小麦、そば、ごま、ピーナッツ…。

食べられるものがどんどん減って、お米が頼みの綱で、お粥に頼る生活をしていたのに、とうとう米アレルギーを発症した日、私は全てを諦めた。

皮膚がただれる。口内炎が何か所もできる。背中も腕もジュクジュクして変な汁が出る。全身あらゆるところが痛くて、痒くて、痛い。

もう食べられるものが無い。
常にどこかしらに不調を抱えるこのカラダ。

痛み、かゆみ、しびれ、だるさ、暑いのに寒い。冷たいのに熱い。皮膚の感覚も内臓の感覚も全てがオカシイ。

もう、こんな体で生きていくの…しんどい。痛い痛い痛い痛い痒い痛い痛い痒い痛い…。

身体を捨てたい。機械の体に脳みそだけ移植できたら?
そしたら楽になれる? でも、そんなSFみたいなこと現実には出来ない。だったら……

「死んだら、楽になるかな?」

コノカラダヲ ヌギタイ

死んで……
身体から、魂を切り離して…

コノカラダヲ ヌギタイ
コノカラダヲ ヌイデ ステタイ


ストーリーメニュー

TOPTOPへ