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そして愛へ

第1章 そして愛へ

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 次の日の朝も、熱があまり下がっていませんでした。進さんは、きょうも優しく看病してくれました。わたしは、薬を飲んでいますのでほとんど眠っていたのですが、進さんがずっと側にいて冷たいタオルで額を冷やしてくれていたのはわかっていました。
 熱のために口の中が乾いたと言いますと、吸い口で水を飲ませてくれました。汗をかいたら、柔らかいタオルで優しく拭いてくれまして、タオル地のねまきを着替えさせてくれるのです。それも二枚を交互に洗濯して、エアコンの風で温かくしてくれまして着替えさせてくれるのです。シーツも取り替えてくれました。
 進さんが、なにか食べたほうがいいよと言ってくれました。わたしが食欲がないと言いますと、ヨーグルトを買ってきてくれまして、もう売っていたよと言って、メロンも買ってきてくれました。リンゴをすってくれましたし、バナナジュースも作ってくれました。寝たままのわたしに、スプーンで食べさせてくれたり、吸い口で飲ませてくれるのです。
 夜になって、すこしずつ熱が下がってきました。これなら、月曜日は大学に行けそうです。だいぶ熱が下がりましたら、進さんが、おかゆがいいか雑炊がいいかと聞いてくれまして、わたし卵雑炊がいいと言いました。
 ベッドで上半身だけを起こしたわたしの膝の上に置いたお盆に、卵雑炊のお茶碗と奈良漬けと湯飲みを置いてくれました。その卵雑炊が、ほんとに美味しかったです。お腹がすいていたこともあって一杯目をすぐ食べおわりますと、机に置いてある土鍋からよそってくれるのです。
 進さんは、なんて優しいんだと思いました。風邪をひいたのが、学生用アパートにいるときでしたら、看病をしてくれる人はいません。進さんといっしょに暮らしていて、ほんとによかったと思いました。

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