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そして愛へ

第1章 そして愛へ

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 進さんといっしょに暮らすのを、愛媛の両親が心配するといけないので、いま借りている学生用のアパートはそのまま借りていたらいいというのです。いまわたしが払っている家賃も、進さんが払ってくれるというのです。
 手紙には、
 「すぐには、返事ができないでしょうから、もしすこしでもお願いをきいてもいいなと思ってくれましたら、一ヶ月試しにいっしょに暮らしてみませんか」
 とも書いていました。
 読み終わるときには、進さんのお願いを受け入れたいと思っていました。月一回、進さんとセックスをしてもいいと思うことができれば、とってもいいお話です。進さんは感じのいい人です。優しそうです。
 わたし、進さんとセックスをしてもいいと思えるかどうか、試しの期間の一ヶ月のあいだに判断をしようと思いました。そして、九月一日から進さんの家でいっしょに暮らしはじめたのです。
 試しの期間のはじめに、進さんが、どうしてわたしにお願いをしようと思ったのか、話してくれました。七月のおわりのころ、わたしがアルバイトをしていました梅田の書店で、絵本を探している親子に、優しく親切に話しているのを見まして、とってもいい娘さんだなと思ってくれたそうです。
 夏休みにフルタイムでアルバイトをしているので、学費などがたいへんなのかなと思ったそうです。その後も、わたしのことをよく見てくれていたそうです。それで、ますますわたしをいい娘さんだなと思ってくれたのだそうです。
 わたし、こんなに楽しくて快適な生活をさせてもらえる、進さんの優しさを嬉しいと思いました。信用できるとも思いました。何日かまえから、進さんに返事をしようと思っていました。でも、いっしょに暮らしてもいいですと言いますのは、進さんとセックスをしてもいいですと言ったことになります。それが恥ずかしいので、一日延ばしにしていたのです。

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