テキストサイズ

そして愛へ

第1章 そして愛へ

         45


 進さんが、いままででいちばん優しいと思うようなキスをしてくれました。嬉しくて進さんにギュッと抱きつきました。進さんが、
 「かおりさん。まだ愛してほしい?」
 「もういいわ。気持ちよすぎて、ちょっとぐったりの感じ」
 「満足したんだね」
 「もう、大満足」
 「よかった」
 「でもね、きょうはもういいけど、でも進さん、これからね、わたしね、愛してほしいと言ってもいいかな?」
 「月一回じゃなくて?」
 「うん。旅行のあいだ船でも旅館でも、帰ってからもいっぱい愛してもらったでしょう。ほんとに嬉しかったの。そしてね、進さんが愛してくれるたびに、もっと気持ちよくなりたいなと思っていたの。それは、回数でもあり、深さでもあるの」
 「かおりさんは、もっと気持ちよくなりたいので、たくさん愛してほしいんだね」
 「うん。だからこれから、愛してと言ってもいいでしょう。駄目?」
 「いいよ。というか嬉しいよ」
 「あぁよかった。これからもっと、こんなに気持ちよくなれるんだね。あぁ、ほんとに嬉しい」
 「そのかわり、生理のときはもちろん駄目だけど、生理が始まってからの二週間は、駄目だからね」
 「妊娠の可能性が高い時期だね」
 「そう」
 「その時期を避けても、あと十四日はあるから、十四回は愛してもらえるわ」
 「欲張りめ」
 「うふふ」
 「冗談はともかく、かおりさんが、愛してほしいと言ってくれたら愛してあげるね」
 「嬉しい。でもちょっと恥ずかしい」
 「気持ちよくなりたいと思う気持ちは、恥ずかしいことじゃないよ」
 「わたしね、あのね、わたし、こんなにセックスが好きになるなんて思わなかった」
 「セックスの気持ちよさを知ったからだよ」
 「そうだと思うわ」
 「はじめてセックスをしたとき、気持ちよくないと心配していたのにね」
 「ほんとだ。あのとき、進さんの言葉を信じてよかった」
 「セックスの気持ちよさは、ほかのものでは味わえない気持ちよさだからね」
 「そうだね」
 「その気持ちよさを味わいたいのは、ごくあたりまえだよ」
 「恥ずかしがらなくてもいいんですね」
 「もちろんだよ。そんな気持ちよさを味わえるあそこを、誇っていいんだよ。でもみんなに発表しなくてもいいからね」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ