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そして愛へ

第1章 そして愛へ

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 十月三日になりました。
 わたし、進さんに話してから一日ごとにドキドキしていました。食事のとき、顔を合わせるのが恥ずかしいとも思いました。でも、進さんは食事をするときにも、三日のことはすこしも話題にしませんでした。楽しい話をして、わたしを笑わせてくれるだけです。ただ、アパートから荷物を運ぶのを、十日の土曜日にしませんかと言いました。
 きょうも、いつもと変わらない朝食でした。進さんが、楽しく話をしてくれますので、わたしは笑いっぱなしでした。昼食はお好み焼きを作りました。ホースを伸ばしてテーブルにガスコンロを置きまして、厚い鉄板を乗せました。進さんの作ってくれるお好み焼きは、大阪風とは違っていました。
 溶いた小麦粉を、お玉で熱した鉄板に丸く広げます。その上に、豚肉、モヤシ、卵を乗せます。焼けてきましたら、おおきなコテで返して押さえます。もういちど返して、半分に折りたたみ甘いソースを塗りまして、かつお節と青のりを振りかけます。とっても美味しいです。
 二枚目は、わたしが作りました。返すとき、破ってしまいました。わたし、キャーと言ってペタペタと叩いて、なんだかグチャグチャなお好み焼きにしてしまいました。進さんもわたしも、大笑いです。楽しい。進さんは、わたしが失敗しても、すこしも嫌な顔をせずに、いっしょになって笑ってくれました。
 夕食のとき、わたしがいつもは十時すぎにお風呂に入るのを、はやく入ってほしいと言いました。進さんはさきにお風呂に入っていましたので、わたしがお風呂からあがると進さんの寝室にいっしょに行きました。
 進さんがベッドのヘッドコーナーから、コンドームを出しました。安全日でと決めたのだからコンドームはいらないのじゃないかと思って、進さんに尋ねました。
 「かおりさんと、セックスをさせてもらうときは、必ずコンドームを着けます」
 「えっ、安全日じゃないんですか?」
 「そうですけど、それでも絶対に妊娠しないという保証はないんです」
 「そうなんですね」
 「かおりさんを、大切にしたいんです。妊娠したら、かおりさんの心もからだも傷つきますから。かおりさんが、安心してほしいんです」
 「進さん、ほんとに優しいんですね」
 わたし、進さんが、そこまで考えてくれているのが嬉しくなりました。

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