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そして愛へ

第1章 そして愛へ

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 こうしてみると、大学生としての勉強以外は進さんとの思い出ばかりです。とくにここでは、進さんとのセックスのことを中心に書きました。女性にとって、優しくセックスしてもらって、たまらなく気持ちよくなるというのは、嬉しくてしあわせなことです。
 すこし嫌なことをしなくてはいけないとき、終わったらご褒美に愛してあげるから頑張れと言ってもらいますと、頑張れます。まえに、進さんが言っていましたように、優しくセックスをしてもらって気持ちよくなりましたら、生活に潤いができます。
 進さんは、わたしが気持ちよくなるように、ほんとに優しくセックスをしてくれます。セックスを優しくできるというのは、すべてのことに優しくできるということだと思います。それで、このように書いているのです。
 わたしは、あと半年もしないうちに、大学を卒業します。就職は、大阪にある公立大学の図書館司書に決まりました。わたしは司書の講義も教職課程もとっていたので司書や教師の応募をしようと思っていたとき、進さんの知り合いの教授からの情報でその大学の図書館司書の募集があると知りましたので応募できたのです。わたし、就職しても進さんと一緒に暮らしたいと思っていましたので、大阪にある公立大学の図書館司書に決まって嬉しいです。
 進さんは、七十二才です。ですから、いろんな知り合いがたくさんいます。進さんのおかげで、就職が決まったのです。それも、感謝です。感謝といえば、奨学金の三百万円はもう払ってくれました。わたし名義の五百万円の預金通帳も、渡してくれました。
 「わたし。それ、貰えません」
 「この三年間。かおりさんが、いっしょに暮らしてくれて、私がどんなにしあわせで嬉しかったか。その嬉しさを、かたちにしただけだよ」
 「嬉しいのは、わたしのほうです。進さんの優しさが、どんなにわたしをしあわせにしてくれたか。わたしこそあげたいくらいです」
 「そんなに嬉しいと思ってくれるなら、なおさら受け取ってほしい」

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