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そして愛へ

第1章 そして愛へ

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 「気持ちよくはなりたいです」
 「ベッドに横になったらすぐに、私のあれが、かおりさんの  あそこの中に入るんだと思っていたんですね」
 「そうです」
 「セックスって、そういうものだと思っていたんですね」
 「はい」
 進さんがわたしにしてくれるセックスのことを、長くなりますがいいですかと言って話してくれました。いままで、わたしが思っていたセックスと、進さんが言ってくれたセックスはまるで違いました。
 「人類が、子どもを産むためのものであったセックスから、楽しむためのセックスを発見して、そうですね二十万年以上前からずっと、セックスは女性が気持ちよくなるためのものだったのです。その証拠に、女性には女性だけには、性的な快感である気持ちよさを高めるためだけに存在する、クリトリスがあります。
 でも、階級がうまれて、男性優位の社会になって、またセックスが子どもを産むためのものになっていったんです。つまり、男性が射精するのが目的のようにです。でもそれは、たかだか数千年のことですから、いずれセックスは女性が気持ちよくなるためのものになると思います。
 セックスは、文化といっしょです。文化に触れなくても、生きていくことはできるでしょう。ただ生きるだけならです。でも素晴らしい文化に触れると、生活に潤いを感じます。セックスも、生活に潤いを与えてくれます。セックスの気持ちよさが、ほかでは感じることができない、ほんとに素晴らしいものだからです。
 かおりさんに、セックスの気持ちよさを感じてほしいんです。性の悦びを感じてほしいんです。その気持ちよさや悦びは、かおりさんの生活に豊かな潤いを与えてくれると思います
 私は、かおりさんが気持ちよくなってもらえるようなセックスをします。キスするのも、かおりさんのからだを撫でさせてもらうのも、かおりさんに気持ちよくなってもらうためにするんです。
 とくにクリトリスは、優しく優しくゆっくりゆっくり丁寧に丁寧に撫でさせてもらいます。気持ちよくなるためだけのところですから。

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