―短冊に託したプロポーズ―
第1章 ―短冊に託したプロポーズ―
(――なぁ理沙。俺……もう一つ叶えたい願い事が出来た)
(え。もう一つの、願い事……って?)
(……『俺と理沙の間に、天使が舞い降りてきますように』)
(っ、それって……)
(この願い事も、一緒に叶えてくれるか?)
(そんなの……いちいち訊くまでもないでしょ。ていうか、裕一にしては願い方がロマンチック過ぎて、ちょっとキモい)
(お前なぁっ。これでも真面目なつもりなんだぞっ。その証拠に……ほら、コレを見ろよ。
俺はな、『こんなのも病院に預けてる』んだぜ?)
(何、この書類…………、うそっ。コレってその、裕一の……?)
(あぁ。けど最初は、預けるつもりはなかった。病気もまだそこまで深刻じゃなかったし、退院したら、すぐに理沙と結婚する気でいたから。
だけど、『病気が病気だから、退院したあとも、治療は続けないといけない』って医者から念押しで言われて。それを聞いて理沙のことを考えたら――治療をする前に、『俺のを凍らせて』預かってもらおうって思ったんだ。治療を受け続けることになっても、『授かれるように』な。
この病気の治療って、『精子』を造る機能をも失くすらしいから)
(そうだったの。私、裕一がここまでしていたなんて、ちっとも知らなかった……)
(……入院してから最悪な期限を宣告された時は、もう絶望しかなくて、結婚を諦めていたけど……お前が短冊に託した願い事を見て、『やっぱり一緒に幸せになりたい』って強く思い直せた。
それから更に欲が出て、もう一つの願い事も叶えたくなった)
(裕一……)
(お前には負担がかかるけど)
(やめて。負担なんて思わないし、思わないで。私だって、私と裕一の天使に会いたいって、ずっと思ってたもの。
私……受けたい)
(…………はぁーあー)
(ちょっと。私の身体を見て、ため息を吐くって何? 私にちゃんと産めるかどうか、疑ったりしてるわけ?)
(違うよ。こんな冷凍物でじゃなくて……出来れば、俺が理沙とめちゃくちゃエッチして、熱々のナマを直で中にぶちこみたかったなぁと思って。入院してからすっかりご無沙汰だからさ、理沙の裸体が恋しくて恋しくて……)
(…………裕一、ごめんね。ほんのちょっとだけ、本気で『一回死んだら?』って思っちゃった)
(うわっ、非情っ)
(裕一がバカなことを言うからでしょ!)