―短冊に託したプロポーズ―
第1章 ―短冊に託したプロポーズ―
――七夕当日。
「理沙。コレ……忘れ物」
今日も会いに来てくれた理沙に、あの細長い紙をピラピラと見せつけた。途端、理沙が、思い出したようにハッとした。
「せっかく丁寧な字で書いてくれたけど……俺は、どこにも行く気ゼロだから」
「っ、だけどっ……」
「とにかくコレは、俺が勝手に書き直したぞ」
表情を歪ませる理沙に、短冊を半ば強引に押し付ける。
「えっ、書き直したって……?」
「いいから、見てみろよ」
「う……うん……」
理沙は戸惑いながらも、短冊に目を向けた。
「っ……! 裕一、コレっ……」
渡した短冊に、改めて託した願いは――
〈二人で幸せになりたい〉
ずっと伝えたかったプロポーズでもあった。