―短冊に託したプロポーズ―
第1章 ―短冊に託したプロポーズ―
「その願い……お前と一緒じゃないと、絶対に叶わないヤツだから」
「うそぉ。ゆういちぃー……」
「それと……プロポーズと言えば、コレも付き物だろ?」
理沙が泣きだしそうなところで、ベッドの中に忍ばせておいたグレーのリングケースを取り出す。
反応が楽しみでワクワクしながら、理沙に向けてパカッと開けると……
俺の期待どおり、面食らった顔をしてくれた。
「えっ……!? 裕一、それって――前に私が、自分のご褒美に買おうとしていたリングじゃないっ!
だけど、裕一ったらあの時、私が試しに身につけたのを見て、『やめとけ。全然似合わない。はめられるリングも、使われる金も、お気の毒だ』なんてことをつらつらと言いだしたから、すっかり買う気無くしたんだよ。
なのに、何で裕一が……?」
「だって、プロポーズするために、俺がどうしても買いたかったんだもん」
まさかのネタばらしで呆然としかかる理沙に、わざと子供っぽく言って茶化した。
そう。俺はその時も――理沙に嘘をついていたんだ。
しかし、本当に死んだら、俺……言葉の綾じゃなくて、リアルガチでエンマ様に舌を抜かれるかもな。