テキストサイズ

狂愛の巣窟

第7章 【再燃するココロとカラダ…】






「運転手さん、急いで」




そう言い放った岸くんはもう昔の面影はない、男の顔つきだった。
酔ってない……酔ってないから、と肩に頭を乗せてくる。
絡ませる指先。
流れる景色を見ながらギュッと握り返した。




どんな状況でも、ほんの些細なきっかけで不倫は始まる。
知らないうちに扉を開けてしまってる。
帰る………そう言ったのは自分なのに。
引いた一線も泡のように消えていくのね。




泊まりだったはずが帰って来て享さんに抱かれるのも悪くない……今なら引き返せる。
享さんにつけてもらったキスマーク、汚さずに戻って来たよって言える。




このくっきりつけられたキスマークを見て、キミはどんな反応をするんだろう。
やめる?興醒めするかしら。
それならそれで良い。
キミがマトモだと証明出来るからね。




暫く走り続けて着いた先はやはりホテルだった。
岸くんにしては結構背伸びしたんじゃないかと思うほどの高級ホテル。
手を引かれ降りて無言のままフロントで鍵を受け取りエレベーターに乗る。




「ねぇ、酔ってないんならやめとけば?手、震えてるよ?不倫なんてガラじゃないでしょ」




どんどん上がっていくエレベーター内でおそらくお酒臭い私たちはお互い少し緊張感が出てきたみたい。
それでも無理やり部屋に連れ込まれて。




扉を閉めると同時に2人の唇は重なっていた。
ほのかにお酒の味がまだ残る口内を互いの舌が絡み合う。




上手になったじゃん……キス。
脚の間に脚入れてきてロックオンだ。
何度も角度を変えて味わい尽くす。




「結婚しないって言った…」




「ハァハァ………え?」




「俺には結婚しないって」




「それ、いつの話?縛られなきゃダメだった?そこまで一途になれないけど」




突き放したら再び唇塞がれて舌が挿入ってくるの。
濃厚なキスの後
「俺に乗り換えるとかダメ?入る隙きない?」って甘い声。



「ないよ、岸くんも今までちゃんと相手居た頃もあったでしょ?浮気する気ないし」




「浮気じゃなくて本気って言ったら?」




そんな縋るような目しないでよ。
それで昔、何回折れそうになったか。
あの頃は若いのもあったし意地で突っぱねれた。
でも今の私は甘い蜜があれば簡単に弱くなる。








ストーリーメニュー

TOPTOPへ