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狂愛の巣窟

第1章 【入り乱れた関係に…】






「なかなか会えなくてごめんなさい、主人が勘付くといけないので私も必死なの……別れるつもりはありません、それでも良ければと始まった関係ですよね?そんなに苦しめているならどうぞ見限ってください」




そう言う私を隣に腰掛け抱き寄せる彼の腕の中でただただ謝る声を聴いていました。




「裕一さんが要らないと仰るなら私はすぐに消えます、何も求めたりしません、あなたのキャリアもこれからの人生も壊さないように綺麗に終わらせますから」




「やめてください……僕はそんな事して欲しくない!」




「例えば…の話です、私はそれくらいの覚悟で裕一さんを愛してますよ?今の自分が出来る精一杯の範囲で会っていたいのですが……足りないですよね」




「ごめんなさい、もう我儘言わないから許してください」




優しくキスで応えます。
見つめ合ってまた目を閉じて舌を絡ませる。
まるで今から2回目のセックスが始まるかのように思わせてサッと身を引くの。
割といつもしてしまうお別れのパターンですね。
帰したくないって思わせたいからです。




唾液の糸を引かせながら「好き」と囁いて糸を回収する。




「好きになってごめん」
「縛りつけてごめん」
「泣かせてばかりだね」
「悪い女でごめん」
「約束出来なくてごめん」




何度口から出た決まり文句だろうか。
こんなだらしない人間になりたかった訳じゃないの。
手放せないだけなの…と言っても全て言い訳になるでしょうね。




それでもしがみついてくるのなら手放す訳にはいかないじゃない。
リスクを最初に提示してあげているのに私の中で快楽に溺れる。
終わりたいなら後腐れなく終わらせてあげます。
だから一度も揉めた事はありません。




出戻り…も何人か居ますね。
やはり忘れられないようです、私の身体が。




「十和子さん、愛してる」




誰に何回言われようと嬉しい一言です。
奉仕してあげたくなります。




「愛してるわ、裕一さん」




何度だって言って差し上げます。
目の前の雄に今ある全ての愛を捧げるのです。
だからどれも嘘はありません。




愛に溢れていたいのです。
いつどんな時でも。









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