狂愛の巣窟
第8章 【倫理に反したその先で…】
「ママにグラつかないか私も確かめたいし」
「する訳ないでしょ!」と小声で叫ぶ。
「でもお兄ちゃんより1つ上の20歳だよ?お兄ちゃんとはエッチするじゃん」とごもっともなツッコミが。
「わかった、会うのは会うよ、挨拶程度になると思うけど」
「本当!?やった!今度の土曜日とかどう?お兄ちゃんには適当にウソついてね?享パパにも」
「はいはい、わかったよ」
仕方なく了承したが、20歳の子と何話せば良いのだろう。
有紗に関してなら私より知ってるかもなのに。
でも、彼氏の前でどんな顔してるのか見れるチャンスよね。
可愛い我が子を泣かせてないかだけを確かめようと思った。
結局土曜日はお家に来てもらう事になり、デート前にちょっと会う。
彼氏が彼女の家まで迎えに来た時にご挨拶する流れになった。
勿論、私以外誰も居ない時間帯に。
いつも通り享さんと一颯くんを見送った後、普段着の私を見て緊張してるのは有紗の方だった。
デート服だから気合い入ってるし、髪も巻いてあげた。
予定時刻ちょうどにやって来て礼儀正しい彼に私は印象も良い。
「うわ、本当にお母さん?お姉さんみたい」
「でしょ?うちのママは最強だもん」
「あまりハードル上げないで、有紗」
チラチラと見られながら目が合うとサッと逸しちゃうほどシャイな彼。
今どきの子で金髪に近い髪色にピアスもジャラジャラと。
ちゃんとご挨拶もしてくれて笑うとエクボが出来て可愛らしい。
「格好良い彼氏だね」と耳打ちしたら有紗も嬉しそうに笑う。
どうぞ、と家に上げた。
お茶だけしたらデートに行くと聞いている。
2人が出て行ったら久しぶりにショッピングでも行こうかなと思っていた。
ポーッと見られてるような。
気のせいかな?
ううん、気のせいじゃない。
ニコッと微笑むと下を向く。
それは有紗も見ててニヤニヤしてるけど。
2人の馴れ初めや現状なんかを話したりした。
彼は建築学科で将来は建築士になりたいんだそう。
有紗もそっち方面かと思いきや美容関係に興味があって夢は美容師かネイリストだなんて、今初めて聞いたよ。