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狂愛の巣窟

第10章 【狂愛の巣窟ー最終章Ⅱー】








「ごめんね、十和子……行きたくないけど行ってきます」




玄関先まで見送る時もグズグズ言ってる。
大丈夫だよって言ってるのに何をそんなに不安がってるんだか。




「わかってる、享さんには帰ってきてからうんと甘えるね?お仕置きいっぱいしてあげる」




可愛くそう言うとハの字眉毛になりながら泣きそう。
「十和子〜」って抱きついて来て、しっかりしてよもう!
昨日フライングで貰った指輪肌身離さず着けてるからね?




「帰ってきたら速攻で抱くから」




わざわざ耳元で言わなくてもわかってるよ。
赤くなる私に「あと1回だけ」と腰から引き寄せ唇を重ねる。
早朝だから誰も見てないけど朝からムラムラさせないで。




「十和子からはしてくれないの?」と顔を覗かれる。
シュン…とするから乗らなきゃならないじゃない。
ジャケットを引き寄せチュッと触れるだけのキス。
終わりじゃないよ…と微笑み、舌を割り入れる。




鞄持ってたのに下に落としてそのまま強く抱き締めて濃厚に絡ませ合うの。
首に回した手と腰に回る手。
今日から3日間の出張で明日が私の誕生日。
どうにもこうにもその日は名古屋に居る享さん。




何度も振り返りながら手を振る。
見えなくなるまで見送ったら、もう一颯くんは起きてきて私を見つけるなりキスしてきた。




「こら、朝ご飯すぐ食べる?先に珈琲だけ飲む?」




額くっつけてきて壁側に追いやられる。




「ん〜、十和子食べたい」って真顔で言うからプッと吹き出してしまった。
キッチンに逃げてもエプロン着けさせてくれない。
取り上げられてキス。
享さんが完全に出張に行ってしまったからって大胆だ。




急いで唇離して
「有紗居るんだよ?」と小声で拒むと
「朝から熱いね〜」ってもう見られてるじゃない。
ジロリと睨む一颯くんに対し、朝から涼しい顔の有紗。




「今日帰って来たら飾り付け手伝うの忘れないでね、お兄ちゃん」




「わかってるよ」




「はいはい、邪魔ものは消えますよ」とミルクだけ持って行こうとするから「此処で食べなさい」と食卓テーブルに朝食を並べた。
勝ち誇ったような顔でニヤニヤと一颯くんを見て座る有紗。









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