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狂愛の巣窟

第2章 【主人の会社の方と…】






ふとそんな事を考えていた目線の先はホットプレートの鉄板付近にテクテク歩いていく2歳くらいの女の子を捉えていた。
遠い目で追いかけていたが何だか危なそうだったので同僚の方と楽しそうに話している享さんには声をかけずに、自然に身体が動いていました。




ホットプレート付近に大人は居ません。
おそらく火は止めているだろうけど熱いはずです。
焼きそばなのか湯気が立っている。
そのすぐ傍でキョロキョロと遊ぶ道具でも探しているのだろうか。
親が目を離している隙きに来ちゃったのかも知れない。




徐々に女の子と距離を詰めていって。
小さな身体の目線からはテーブルの上など見えていないのかも。
嫌な予感は思うそばから実現していく。
背伸びして手を伸ばす先は鉄板。




「ダメだよ!触っちゃダメ!」




ごめん、大きな声出したからびっくりしちゃったんだよね。
クロスか何かを引っ張ったまま尻もちついたからホットプレートごと女の子の元に落ちそうになった。




周りが気付いて「危ない!」と叫んでももう遅いの。
いち早く辿り着いた私はホットプレートの下敷きとなり女の子を身体の下で守った。




あ……ヤバい、重いし熱い。
自力では起き上がれない。
バーベキュー用のホットプレートと言ってもグリルも付いてるやつでガッチリしてて、具材も乗ってりゃそれなりの重さ。




一時は騒然としたけど女の子に怪我はなくホッとした。
ご両親の方にはかなり謝罪されたけど享さんの同僚の方だし、私も大した怪我は……腕に少しだけ火傷を負ったくらい。
火傷といっても小さな範囲でおそらく傷も残らない程度。




享さんだけがアタフタして大袈裟にするから宥めるのに必死でした。
「笑ってあげて、怖がるでしょ」と耳打ちしたらこれでもかってくらい優しい笑顔で女の子に話しかけていた。




こんなかすり火傷ひとつで後片付けすらさせてもらえませんでした。
逆に気を遣わせてしまい申し訳なくなる。




「休んでいてください」と一人ポツン。
それをチャンスだと思っていた人が一人居るのは知っていました。
勿論その方は主人の享さんではなく、同じ会社でこのバーベキュー大会に遅れて参加してきた独身チームの一人。









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