狂愛の巣窟
第2章 【主人の会社の方と…】
「よし、帰るか」
享さんの声に微笑み車に乗り込む。
最後にまた女の子のご両親にお礼を言われましたが「お気になさらず」の一言に尽きる。
享さんの後輩家族でした。
女の子とバイバイしてその場を後にしました。
帰る途中で思わぬ所で車線変更したので不思議に思うと運転席から手を握ってきた。
運転してる享さんは前を見ながらチラッと私を見る。
「今日は一緒に来てくれてありがとう」
「うん、楽しかったよ?」
「怪我、させちゃったけどな」
「仕方ないよ、あれくらいの歳の子は皆危なっかしいから」
「心臓ぶっ壊れるかと思った……十和子に何かあったら俺生きた心地しないからさ」
「心配性だな、享さんは」
「それと伊藤に何もされてないよな?」
「えっ?何もってされる訳ないでしょ、何もかも疑い過ぎだよ」
「うん、十和子の事になると俺全然冷静になれないや」
「で、何処向かってるの?だいぶ道逸れてるけど?」
「あ、いや……十和子、腕の傷大丈夫か?」
「だからかすり傷だってこんなの」
「うん……十和子が大丈夫なら……真っ直ぐ帰りたくないんだけど」
「私は帰ってすぐシャワー浴びたいな」
「シャワーならすぐ浴びれるぞ?」
「ラブホは嫌」
「えっ!?あ……ハイ」
完全に動揺してる享さんは面白い。
暫く眺めていようか。
どんな反応するのかしら。
私を抱きたくて仕方ないその下半身はどこまで耐えれるのかな。
携帯を開きスクロールしている私を気にしてる。
「運転、集中して」と手を離すとシュンとしながら返事をするのが笑いそうで必死に堪えるの。
少しだけグレードアップしたホテルを探し出しナビをセットした。
え?え?とわかっていない享さんは行き先が表示されたら泣きそうな顔で「十和子〜」って。
そうね、家にも電話するわね。
帰り道混んでるからもう少しかかりそう。
今日はウーバーイーツでも頼もうか。
好きなの頼んで良いよ。
ママ達のも適当にお願い。
あ、お肉以外で。
電話を切ったらまた手を繋ぐ。
享さんが行こうとしていたラブホは通り過ぎその先の老舗ホテルへ。