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狂愛の巣窟

第4章 【意のままに踊らされて…】






「おかえり」って笑顔で長女に言えてる私はとことん悪女だなって思うよ。
お弁当箱をシンクに出しながら夕食の唐揚げをつまみ食いする長女を叱りながら皆で笑い合ってる。




何気ない日常のひとコマに瞬時に戻る。
それが一颯くんと決めた秘密の関係を保つ為だから。
わかってる、歪んでる事くらい。
けど今日みたいに手放したくない想いが抑えきれなくなる日もあるのです。




許されないのも充分に理解しています。
批難も承知の上。
でもどうか見守って欲しい。
未来のない恋だとしても。
終わらなければならない恋だとしても。
私は一颯くんを愛しているのです。
享さんと同じくらいに。







壊れる時は一瞬で、綻び出したらそう簡単には戻らない。
そんな事はとっくにわかってる。
その予兆も少しずつ現れて。





わざと見た訳じゃないけど、偶然見えてしまった有紗の首にキスマーク。
15歳でそういう経験は別に早過ぎるなんて事はなく、私だってそれくらいで経験してるから娘も年頃になったんだな…と感じていました。




部活でそんな暇もないかなって思っていたけど受験生だから自分の身体も大切にね。
私が言えた義理じゃないけど。




「コンドームはちゃんと着けなさい」




「え…!?」




いきなりこんな事親に言われたら誰でもびっくりするわよね。
キスマークに指差すと髪で慌てて隠してる。




「着けない男はダメよ?」なんて言ったらウザい親なんて思われるのかな。
そしたら意外にも素直に「うん」って拍子抜け。
それ以上は何も言わずに肩を抱き寄せ擦った。




そうか、有紗ももう処女じゃなくなったんだね。
痛かったろうに。
不安抱えてないかな。
目まぐるしく身体が変化して生理がくるまで余計不安になって…だよね。




「まぁ、何かあったらひとりで抱え込まない事……それだけは約束して?どんな些細な事でもちゃんと聞くしどうすれば良いのか一緒に考えてあげる」




「うん………ママありがと」




泣きそうで何も言わない娘に親がしてあげれる事なんて限られているのかも知れない。
でも一番の味方だし誰よりも幸せを願ってる。
この世で一番愛しているのよ。









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