止まない雨はない
第4章 Bar Lucas
佐屋がストリングスをパッセージしはじめた頃、
また扉のドアが軋みながら開く音がした。
「はぁい!いらっしゃい……」
眠そうな目で入り口ドアを見たタカシだったが…思わずシェイカーを振る手が止まってしまった。
シャカシャカと今まで軽快な音が聞こえていたのがピタリと止むと、
鳴海も、佐屋も、悪酔いしつつあるヤマダも、
テーブルの一隅で愛を語るアズマとクレハも、
一斉に何事が起きたのかと、タカシに視線を向け、そのあと入り口にその視線を移した。
「………やっと、見つけた!」
入り口に立ったその男は、顔に傷があり、温厚そうな、笑顔でいる。
「……ルカ」
明らかに、その一言を発したタカシの表情には、動揺が見られた。
洞察力の鋭い佐屋は、一番近くでそれを見ていて逃さなかった。
「……タカシさん。捜しました。今日、ルフトハンザで成田に着きました」
「…マスター、この人、誰だ?」
尋常じゃない空気のなかで、鳴海が痺れを切らしてタカシに訊ねた。
「…三年前、ニューヨークでオレが左目を失明しかけた時、治してくれた、大学病院の先生なんだ…」
なるほど、事故か何かでちょうどタカシの顔面の左側を、左目にかかるように
ざっくりと創傷痕がある。
さすがに思ったことをいつもハッキリいわずにはいられない鳴海でさえ、この雰囲気と空気を読み取り、
タカシに冗談でツッコみを入れるようなことはなかった。
また扉のドアが軋みながら開く音がした。
「はぁい!いらっしゃい……」
眠そうな目で入り口ドアを見たタカシだったが…思わずシェイカーを振る手が止まってしまった。
シャカシャカと今まで軽快な音が聞こえていたのがピタリと止むと、
鳴海も、佐屋も、悪酔いしつつあるヤマダも、
テーブルの一隅で愛を語るアズマとクレハも、
一斉に何事が起きたのかと、タカシに視線を向け、そのあと入り口にその視線を移した。
「………やっと、見つけた!」
入り口に立ったその男は、顔に傷があり、温厚そうな、笑顔でいる。
「……ルカ」
明らかに、その一言を発したタカシの表情には、動揺が見られた。
洞察力の鋭い佐屋は、一番近くでそれを見ていて逃さなかった。
「……タカシさん。捜しました。今日、ルフトハンザで成田に着きました」
「…マスター、この人、誰だ?」
尋常じゃない空気のなかで、鳴海が痺れを切らしてタカシに訊ねた。
「…三年前、ニューヨークでオレが左目を失明しかけた時、治してくれた、大学病院の先生なんだ…」
なるほど、事故か何かでちょうどタカシの顔面の左側を、左目にかかるように
ざっくりと創傷痕がある。
さすがに思ったことをいつもハッキリいわずにはいられない鳴海でさえ、この雰囲気と空気を読み取り、
タカシに冗談でツッコみを入れるようなことはなかった。