止まない雨はない
第6章 ウルトラマリン
それにしても、普通にバイトの身分で、福利厚生がこんな太っ腹な旅行になるなんて…
と鳴海は思った。
「…ホント、マスターってルカ先生にベタ惚れだな」
さすがに飛行機はエコノミークラスだったが、どうせすぐに避暑地に着いてしまうのだ。贅沢は言えない。
鳴海がシートを少し倒してふと横を見る。
隣には佐屋が同じくシートを少し倒し、本を読んでいた。
その横顔をじっと見つめる。
彼の視線に気付いた佐屋は「ん?」と何か訊ねるような顔をしたが、すぐにニッコリと笑い、人差し指で「こっちに…」と鳴海を呼び寄せる仕草をしたあと、
本で隠しながら彼の唇にキスをした。
ば…ばかやろ…。
鳴海は真っ赤になりつつも、機内で大胆にキスをする佐屋も、自分と同じで浮かれているんだな…と思い、すぐに笑顔になった。
それからあっという間に飛行機は目的地に降り立った。
空港ロビーはエアコンが効いていたが、外は本当に暑そうだ。
レンタカーを借りてハンドルを握るのはタカシ。
オープンカーがいい!とダダをこねた鳴海の意見を無視し、ちゃんとエアコンの付いたセダンを借りた。
海岸通りを滑るようにして車は走る。
両サイドには椰子の木が植樹され、すっかり南国情緒が漂っている。
「…ステキなところですよねー。オレ、海って大好きなんです…」
ルカが助手席の車窓から見える白い砂浜を指差し、目を輝かせているのを横目で見ながら、タカシはすごく嬉しそうだった…。
それを後部座席で見ながら、佐屋は鳴海に囁いた。
「鳴海…ホテルに着いたら、僕ら、別行動したほうがいいかもしれないね」
「…え?…ああ、うん。そうだな、わかった」
みなまで言わなくとも、鳴海もタカシとルカの邪魔をする気など、さらさらない。
「まだ日が高いから、夕方から泳ごうよ…」
「えー?せっかく日焼けしたかったのに」
「急激に焼くとあとでキツイよ?夕方からでもちょっとは焼けるから…」
二人で後部座席でコソコソと相談する。そんな些細な相談さえも、
なんだか浮き足立ってしまうのだ。
と鳴海は思った。
「…ホント、マスターってルカ先生にベタ惚れだな」
さすがに飛行機はエコノミークラスだったが、どうせすぐに避暑地に着いてしまうのだ。贅沢は言えない。
鳴海がシートを少し倒してふと横を見る。
隣には佐屋が同じくシートを少し倒し、本を読んでいた。
その横顔をじっと見つめる。
彼の視線に気付いた佐屋は「ん?」と何か訊ねるような顔をしたが、すぐにニッコリと笑い、人差し指で「こっちに…」と鳴海を呼び寄せる仕草をしたあと、
本で隠しながら彼の唇にキスをした。
ば…ばかやろ…。
鳴海は真っ赤になりつつも、機内で大胆にキスをする佐屋も、自分と同じで浮かれているんだな…と思い、すぐに笑顔になった。
それからあっという間に飛行機は目的地に降り立った。
空港ロビーはエアコンが効いていたが、外は本当に暑そうだ。
レンタカーを借りてハンドルを握るのはタカシ。
オープンカーがいい!とダダをこねた鳴海の意見を無視し、ちゃんとエアコンの付いたセダンを借りた。
海岸通りを滑るようにして車は走る。
両サイドには椰子の木が植樹され、すっかり南国情緒が漂っている。
「…ステキなところですよねー。オレ、海って大好きなんです…」
ルカが助手席の車窓から見える白い砂浜を指差し、目を輝かせているのを横目で見ながら、タカシはすごく嬉しそうだった…。
それを後部座席で見ながら、佐屋は鳴海に囁いた。
「鳴海…ホテルに着いたら、僕ら、別行動したほうがいいかもしれないね」
「…え?…ああ、うん。そうだな、わかった」
みなまで言わなくとも、鳴海もタカシとルカの邪魔をする気など、さらさらない。
「まだ日が高いから、夕方から泳ごうよ…」
「えー?せっかく日焼けしたかったのに」
「急激に焼くとあとでキツイよ?夕方からでもちょっとは焼けるから…」
二人で後部座席でコソコソと相談する。そんな些細な相談さえも、
なんだか浮き足立ってしまうのだ。