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止まない雨はない

第6章 ウルトラマリン

見つめあって、どちらから…ともなくキスをする。

潮風が心地いい…。

ヒトや生命の起源が海からという説は、
本当なんだろうな…と、
いまさらのように佐屋は思った。


太古の昔に育まれた生命。
枝分かれした進化の末、
ヒトとして出会った僕と鳴海。


海のなかで…僕らは結ばれる。

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太陽がすっかり傾くまで、二人は波間に漂っていた。
少し疲れてきたね…と佐屋が声をかけると、鳴海が胸にもたれてきた。
テトラポットに隠れて、お互いをキスで誘った。

「太陽が…あんなに赤いのって…見たことなかった…」

佐屋に抱きしめられながら、照れ隠しのように鳴海は夕日を見て呟いた。
波がテトラポットに打ちつけられる音にかき消されそうななかで…。

「佐屋……」

「好きだよ、鳴海…ここで…いい?」

「…バカ。聞くなよ…んなこと…」

佐屋に抱きすくめられて、深く深くキスを交した。
海に誘われるように、ひとつになる。
佐屋の息遣いが鳴海のうなじにかかるたび、彼は身体を震わせた。

ありがとう…。
僕のために、この時代に生まれてくれて。
そばにいてくれて…
大好きだよ……鳴海。

夢中になって昇りつめていく。
二人だけの世界。
キスが少し塩辛いのは
海のせいだね…。

荒々しくむさぼりながら、愛を確かめ合う。
僕らはまだまだ子供だから…
こんな風にしか、確かめ合えないから。

「鳴海……イクよ…」

「………ああッ……ま……まって」



波の音が…静かだね…。

そしてもうすぐ、星が照らしてくれるよ…。
二人にとっても、夏の素敵な思い出となった、ルーカスの夏旅行だった。

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