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止まない雨はない

第1章 マンハッタン

タカシのアパートメントは表通りから一本入ったところにあった。
コンクリートで打ちっぱなしの壁と、殺風景な部屋の中央に、ピアノだけが大切に置かれていた。


それ以外には造り付けのベッドと、丸いテーブル。テーブルの周りには酒瓶が数本と
音楽雑誌が落ちていた。


『…オレの部屋よりは…キレイかな?なんて…ね。冗談ですよ』


手持ち無沙汰で、少し緊張した自分をごまかすようにして、ルカは冗談を言ってみせた。

タカシは無言で玄関のドアを閉め、鍵をかけると、ルカの手首をぐいっと掴んだ。


『……………。』


無言のまま、ルカはタカシの眼を見つめる。


タカシはそんな彼に怯むことなく、ルカの体を強引に引き寄せると、
噛み付くように彼の唇を奪った。
そして、すぐに唇を離すと、彼の顔を間近にしたまま、囁く。

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