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止まない雨はない

第8章 Fallen Angel

すると路地を少し入った行き止まりの壁に、服のようなものが、
奇妙に両腕を広げたように貼り付けられていた。


…………………っ!!

それはルカが、今朝出かけるときに着ていたシャツだったのだ。

「ルカっ………」

タカシは駆け寄り、壁に貼り付けてあった服を剥ぎ取った。

間違いない。

それはルカのシャツだ。

彼はサッと血の気がひいていくようだった。


服を握り締めると、カサカサと紙の音がした。彼は慌ててルカのシャツのポケットを探った。
すると、なかには脅迫状らしきものが入っていたのだ。


“お前の大事な男を預かっている。返して欲しければ、三丁目の≪蛇≫のオフィスへ来い”

くそっ………!!

怒りで血が逆流するようだった。

タカシは既に弾かれるように指定された場所へと、駆け出していた…。

深夜の歓楽街は、怒号と騒音で、彼の気配さえも飲み込んでいくようだった。

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