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止まない雨はない

第9章 ふたり

そしていつの間にか、残るは、ジャノメだけとなっていた。

「どいつもこいつも、使えない奴等ね!!」

ジャノメは胸元から拳銃を取り出し、その銃口をタカシに向ける。

「撃てるものなら、撃ってみてよ?」

銃口を向けたぐらいでは、タカシは怯まない。

「あはははは…開き直ってざま無いわ。アタシの勝ちよ、タカシ!!」

トリガーを、ジャノメが骨のように白い己の指で引いた、まさにそのときだった。

…………………っ!!

いきなり屈強な男たちが部屋に流れこんくると、ジャノメの一瞬の隙をついて、拳銃を蹴り上げ、
それはそのまま発射されずに天井に当たって床におもちゃのように落下した。

「…………あんたたちは!」

それはタカシには見覚えがある男たちだった。

そう、堺谷のボディガードを務める精鋭たちだったのだ。

「……よう頑張ったのォ……タカシ。そしてルカ」

部屋の入り口には、いつの間にか堺谷が立っていた。

彼は己の部下にタカシとルカを見守らせ、風間隼人を通じて危険があれば駆けつける用意があったのだ。

「久しぶりじゃのォ、ジャノメ。この界隈はワシのものだと判っていながら、
随分とやりたい放題しおったのォ?」

「フン…。いまさら老いぼれがシャシャリ出てこないでちょうだい!」

「まぁ、そう言うな。実はお前に忠告しておこうと思うてな」

堺谷はまるで旧知の仲であるような口ぶりでジャノメに話かける。

「土地を買い漁るのは個人の勝手じゃが、この景気ももってあと数ヶ月じゃ。
夢の200億円も、半分以上紙切れになるぞ」

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