止まない雨はない
第9章 ふたり
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タカシはしばらく≪Bar ルーカス≫を休業し、ルカの手当てをし続けた。
あれほど酷い暴行をうけながらも、肋骨にヒビが入った程度で済み、ほとんどが打撲だけだったことは不幸中の幸いだった。
もしもあのときの拳銃がまともに使用されていたなら、自分たちは存命してはいなかっただろう。
二人が暮らす部屋の寝室で、手当てされた痛々しいルカが眠っている。
その間、タカシは片時も彼の傍を離れずにいた。
ただ、自分は彼を愛しているだけなのに、その運命の激しさは、ルカを危険に巻き込み、傷つけてしまう。
「…ねぇ、ルカ」
タカシはぐっすりと眠るルカに話しかける。
「オレはアンタとは一緒にいてはいけないのかな?」
ただ、愛したいだけなのに。
一緒に時間を過ごし、ひとつになるように身体を重ね、その泣きたくなるほどの幸せに、いつも互いは生きていると実感する。
そんなささやかな人生を送りたいだけなのに。
「………オレがこのまま消えちゃったら、またアンタ、怒ったりする?」
彼の手を取り、指先に唇で触れながら、タカシは笑って尋ねる。
ルカの言葉を聞くことが怖くて、眠っている彼に話しかけるなんて、
自分は彼との恋に、こんなにも臆病なのだ。
タカシはしばらく≪Bar ルーカス≫を休業し、ルカの手当てをし続けた。
あれほど酷い暴行をうけながらも、肋骨にヒビが入った程度で済み、ほとんどが打撲だけだったことは不幸中の幸いだった。
もしもあのときの拳銃がまともに使用されていたなら、自分たちは存命してはいなかっただろう。
二人が暮らす部屋の寝室で、手当てされた痛々しいルカが眠っている。
その間、タカシは片時も彼の傍を離れずにいた。
ただ、自分は彼を愛しているだけなのに、その運命の激しさは、ルカを危険に巻き込み、傷つけてしまう。
「…ねぇ、ルカ」
タカシはぐっすりと眠るルカに話しかける。
「オレはアンタとは一緒にいてはいけないのかな?」
ただ、愛したいだけなのに。
一緒に時間を過ごし、ひとつになるように身体を重ね、その泣きたくなるほどの幸せに、いつも互いは生きていると実感する。
そんなささやかな人生を送りたいだけなのに。
「………オレがこのまま消えちゃったら、またアンタ、怒ったりする?」
彼の手を取り、指先に唇で触れながら、タカシは笑って尋ねる。
ルカの言葉を聞くことが怖くて、眠っている彼に話しかけるなんて、
自分は彼との恋に、こんなにも臆病なのだ。