
止まない雨はない
第9章 ふたり
すると、突如玄関のインターホンが数回鳴った。
「……誰だろ?こんなトコに訪ねてくる奴なんていないはずだし、まさかまだジャノメ一味が…ってことは、ないよな…」
ゆっくりと立ち上がり、タカシは玄関へと向かい、ドアを開けた。
「あ!いたいたマスター!!ルカ先生、大丈夫なのか?」
「……すみません、突然お邪魔しちゃって。でも、お店でとんでもないことになっちゃってて…」
玄関の外に立っていたのは、バイトの鳴海と佐屋だった。
二人とも、抱えきれないほどの花束や見舞い用の果物籠や、ラッピングの大小の箱を足元に置いている。
「……何なの、お前たち、それ?」
タカシは半ば呆れながら、それらの荷物の山を不思議そうに見つめる。
「何なのじゃないってっ!お店の常連さんたちや、歌舞伎町のキャバクラや飲み屋や量販店の青葉の兄ちゃんまで
こーんなに見舞いの品を持って店に詰め掛けちゃってさ!!」
「見舞い?もしかして……これ、みんなルカのために?」
「ったりめーだって!どう考えたってマスターのものじゃねーよ」
まるで叱りつけるように鳴海はまくし立てる。
「……とにかく、歓楽街の皆さんや山口クリニックの患者さんとか、連絡先が判らないからって、店の前とかに置いていったり、たまたま僕たちが掃除しようと出勤したら、
凄いことになってたから…」
佐屋に説明され、タカシは山のような見舞い品の送り主がそれぞれ誰なのか確認し始める。
≪ニューハーフ・バー しるびあ≫
“ルカ先生は大丈夫?早く良くなって二人で飲みに来てちょうだいね”
メッセージカードを読めば、自然に気のいいオーナーの顔が浮かぶ。
≪キャバクラ・リーブス≫
“タカシちゃんの彼氏が大変だって聞いたよ。ほんの気持ちだけど…。あと、これからはオレたちもチカラになってやっから……”
馴染みの同業者からの温かいメッセージ。
“ルカ先生、早くよくなってくれよ”
“ルカ先生、元気になってね”
“いっぱい食べて、早く戻って来てね”
どれも、皆、ルカのことを自分のことのように心配してくれている、温かい言葉が添えられていたのだ。
「……誰だろ?こんなトコに訪ねてくる奴なんていないはずだし、まさかまだジャノメ一味が…ってことは、ないよな…」
ゆっくりと立ち上がり、タカシは玄関へと向かい、ドアを開けた。
「あ!いたいたマスター!!ルカ先生、大丈夫なのか?」
「……すみません、突然お邪魔しちゃって。でも、お店でとんでもないことになっちゃってて…」
玄関の外に立っていたのは、バイトの鳴海と佐屋だった。
二人とも、抱えきれないほどの花束や見舞い用の果物籠や、ラッピングの大小の箱を足元に置いている。
「……何なの、お前たち、それ?」
タカシは半ば呆れながら、それらの荷物の山を不思議そうに見つめる。
「何なのじゃないってっ!お店の常連さんたちや、歌舞伎町のキャバクラや飲み屋や量販店の青葉の兄ちゃんまで
こーんなに見舞いの品を持って店に詰め掛けちゃってさ!!」
「見舞い?もしかして……これ、みんなルカのために?」
「ったりめーだって!どう考えたってマスターのものじゃねーよ」
まるで叱りつけるように鳴海はまくし立てる。
「……とにかく、歓楽街の皆さんや山口クリニックの患者さんとか、連絡先が判らないからって、店の前とかに置いていったり、たまたま僕たちが掃除しようと出勤したら、
凄いことになってたから…」
佐屋に説明され、タカシは山のような見舞い品の送り主がそれぞれ誰なのか確認し始める。
≪ニューハーフ・バー しるびあ≫
“ルカ先生は大丈夫?早く良くなって二人で飲みに来てちょうだいね”
メッセージカードを読めば、自然に気のいいオーナーの顔が浮かぶ。
≪キャバクラ・リーブス≫
“タカシちゃんの彼氏が大変だって聞いたよ。ほんの気持ちだけど…。あと、これからはオレたちもチカラになってやっから……”
馴染みの同業者からの温かいメッセージ。
“ルカ先生、早くよくなってくれよ”
“ルカ先生、元気になってね”
“いっぱい食べて、早く戻って来てね”
どれも、皆、ルカのことを自分のことのように心配してくれている、温かい言葉が添えられていたのだ。
