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止まない雨はない

第9章 ふたり

ルカは掛け布団から腕を延ばし、タカシの顔を引き寄せた。

「……あなたはまだ、オレのことをわかってくれていないのですか?」

悲しげに見つめながら、ルカはガーゼが当てられた頬を、そのままタカシに摺り寄せながらキスをする。

苦痛で顔を歪めながらも、自分へのキスを止めようとしないルカを、タカシは抱きしめたい衝動で突き動かされるが、敢てそれを堪えた。

「………ダメだよ、ルカ。傷に障る」

それでも、無理やり離れ、彼を宥めようとしたが、ルカは今度はタカシの腕を引き、ベッドへと引きずり込んだ。

「…待って、ルカ。無理だって…」

「…オレを愛してください!!」

「……傷を治さなきゃダメだよ、ルカ」

「いやだ、そんなの、待てませんから」

包帯を巻いたルカの指先が、タカシのズボンのジッパーを捕らえ、せっかちに下ろそうとする。

「……ルカ」

「何処にも行かないって言ってください。もう離れ離れになるのは、二度とご免です」

「そんなの………オレだって」

焼け焦げるような情熱をもてあまし、いつも身体を繋げてきた。

引き裂かれる痛みに負けるくらいなら、一緒に傷つくのも悪くない……。

ルカはタカシと共に生きることを決めた日から、あらゆる障害は覚悟の上だったのだ。

こんなに固く抱き合っているのに、涙が止まらないのは何故だろう……。

苦しそうに息をするルカの身体を抱きながら、タカシは優しく腰を運び、自身が彼の内部でその温かな感覚を味わっていく。

そして一方の手で、ルカ自身を何度も慈しんで包みこむ。

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