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止まない雨はない

第9章 ふたり

脈を打つようにその快感を肌に伝えてくる彼に、静かに微笑を浮かべたタカシは、
さらに彼を優しくその手の中で追い込んでいく……。

「あああっ………タカシ………タカシさん……も……っと……オレに…」

「ああ、わかってる、ルカ。アンタをどう抱けば、悩ましくその身体をさらに開いてくれるのか、ちゃんと………わかってるよ………」

ぬれそぼる唇を何度も重ねあい、指と指を絡ませてタカシはルカの身体をベッドに抑えこむ。
それはまるで、ピンで留められた昆虫標本の蝶のようだった。
羽を広げ、その身の美しさを誇示するがごとく、ルカの肌は赤く染まりながら汗ばんでいた。

ひたひたと肌を打ち合い、愛の行為に没頭することだけで今まで過ごしてきた時間も、憂いも、苦しみも、痛みも忘れることができた。

「きれいだよ、ルカ……陶器のようにいつ見てもきれいな肌だよ……。なのに、オレのせいでいつも傷つけられていく……。オレは……アンタを不幸にするんじゃないかって、いつも悩んでしまう」

彼の男性と、己の性で、狂わしげに甘く呻く彼を自分のものとして。

「……傷、痛む?」

ルカはいつも、無茶ばかり……。

息をかすかに上げながら、タカシは甘い痺れでルカと繋がり、何度も押し寄せてくる快感に身体を撓らせた。

「……平気です。傷なんて、どうでもよくなるくらい…」

その先は恥ずかしかったのだろう。ルカは行為に溺れそうだとは言えなかった。

「……なんかいつも、大抵傷を負ってはセックスしてる…」

耳元でそう囁いたタカシに、ルカは顔を真っ赤にさせた。

「……そんなふうに言わないでください」

恥ずかしいです。

顔を背けたルカに構わず、タカシは彼を追い求めた。

「ん…………」

息が止まりそうなほどキスをして、何度も二人で繋がりながら、くたくたになるほど果てるのを繰り返した。


間違ってないんだと思います。

ルカの身体の上で重なったまま、タカシは深い眠りにつこうとしていた。


その間際に聞いたルカの言葉に、とても救われたような気がしていた。

ねぇ、ルカ……。

オレがまた離れていきそうになったら、アンタ、叱ってくれる?







ねぇ……。

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