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止まない雨はない

第1章 マンハッタン

ルカはタカシの手をとった。

『………なら、抱いて下さい、オレのこと』

『…ですが、先生…オレは…先生に…』


『……オレを好きなら、抱いてください。オレも……あなたが好きだから』


窓の外は雨………。

タカシの腕のなかにルカは身を任せた。
こんな愛は初めてだ。
強烈にその魂に惹かれた。
タカシというめぐり合ったばかりの存在に、全てを投げ出してしまいたくなる衝動。

自分の目を見つめながら、やさしくタカシは口付けてくる。
何度も…何度も…愛しげに。

彼の心を癒すつもりでいたのに、
癒されているのは自分だと気付いてしまう。

『………先生、先生ってカワイイ人ですね』

ふいにからかうようにタカシが笑うと、ルカは頬を染める。

『……その、“先生”っていうの、やめてください。
“ルカ”って…みんなのようにあだ名でもいいですし…』

『……了解、ルカ。あなたの仰せのとおりに』

タカシはふっ…と一瞬、とても幸せそうに笑った。

そんな彼の顔見てルカも思う。そう…、せめてオレと肌を重ねている間だけでいい。ユキトの死を忘れてくれたなら…。

『ルカ……』


身もだえするような熱い想いのこもった声で、タカシはルカにキスをしながら囁いた。

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