ジェンダー・ギャップ革命
第4章 享楽と堕落の恋人達
* * * * * *
関係者でも一部の人間のみの知る、織葉がえれん達と暮らしている邸宅。
家政婦達は、とっくに就寝したあとだ。
門から軒先までの距離も相まって、夜闇が屋内まで染めきると、昼間の世界とはどこか別の遠い場所へ切り離された錯覚がする。
十代の少女達が好みがちなオードトワレを想起する香りが、織葉とえれんにまとわっていた。湯上がりの余韻がこうも淫らに嗅ぎ取れるのは、寝台に身を投げ出したえれんのネグリジェが、彼女の肌の半分も隠していないせいだろう。
明かりを薄めた彼女の部屋で、織葉は鏡に向かっていた。
肌や髪の手入れを終えて、えれんの側に腰を下ろした。
就寝の挨拶くらい自然な動作で指を絡めて、彼女の唇をキスで塞ぐ。切なげに喉を鳴らした彼女の腰より下を見ると、もどかしげに内股をすり合わせていた。既に自慰でもしていたのではと勘繰るそこに、織葉は手のひらを滑らせる。その太ももが、ひくんっ、と跳ねた弾みのように、濡れた悲鳴がえれんの喉を震わせた。
ちゅく。ちゅく、じゅる。……
ふっくらとした口溶けを想像させるえれんの唇を自らの唇に挟んで、舌でくすぐる。
「もう感じてる?」
湿り気を残したうなじの髪に手櫛を通して、彼女の首筋を片手に包んで、織葉は落ち着きない彼女のももにも手を往来させていた。
「んッ、だって、だってぇ……」
いじらしく織葉に縋る腕。
食虫花の蜜を啜る蝶よろしく、いたずらに背中をいじるえれんの指には構わないで、織葉は彼女の歯と歯の向こうに舌を伸ばす。