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ジェンダー・ギャップ革命

第4章 享楽と堕落の恋人達


 えれんを一糸まとわぬ姿にするのは容易かった。

 ネグリジェの下に何もつけなかった彼女は、織葉の下で恥じらいもなく裸体を晒した。恥じらうための思考を失くしていた、と言うべきか。

 肌の色素はやや強めでも、乳房や太もも、恥丘が異様に白く見えるのは、鼈甲色の照明が、盛り上がった部分を強調しているからか。稀に見る豊満な二つの膨らみは、撫でると彼女の胸骨の上をたぷたぷ踊る。


「ぁッ、あァァァっ……」


 キスして身体に触れるだけで、今にも気を遣りそうだ。顔をしかめるえれんの喉に吸いついて、昼間の知的な彼女からは想像し難い嬌音を促す。

 健全なオードトワレに似た香りが性質を変えているのは、今度こそ気のせいではあるまい。彼女の脚を左右に開くと、めしべを露出させた肉襞が、じわりと蜜を吐いていた。


くぷ。ちゅく。くちゅ、くちゅ。…………


 養母の淫猥をからかって、耳朶や鎖骨にキスを散らす。脚と脚の間の肉薔薇を覆う縮毛を指に絡めながら、とろみを襞に塗りつける。愛してる、愛してる、と喘ぐ女の声が、腰の奥まで波紋を広げる。織葉の指先の下でぷっくり膨れた乳房の先端が、無言でキスをねだっている。それを口内に含んで唾液をすりつけながら、彼女の愛のささめきに、織葉も空疎な言葉を返す。愛してる。好き。とっても綺麗。

 綺麗、というのを除けば、どれも違う。ただ、そうした常套句は、より快楽の比重が増す。えれんとて彼女の官能の刺戟のために、織葉を愛しているだけだ。


 悲しみで出来た女の肉叢。女であることを強制された、性の象徴。


 嗅ぎ慣れた愛液に唇を寄せると、想像通りの酸味が口に広がった。

 この匂いだけを知っている。この味だけを知っている。

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