ジェンダー・ギャップ革命
第5章 良人の娘と寝る女
「愛津ちゃん」
「神倉さん、織葉さん」
「人気者ね。私達は、披露宴までお預けかな」
「ですね。英真ちゃん、先生の仕事もしているんでしたっけ。生徒の皆さん、二人が大好きなのが見てるだけで分かります」
「私達も負けてないと思うんだけどな。でも、二人があんなに愛されてると、仲間として誇らしい」
「本当にね。愛津ちゃんもそのお洋服、見込んだ通り似合うわ」
「有り難うございます、先日もお忙しいところお時間いただいて……」
「プレゼントさせて欲しかったくらいよ。本当に似合うから、私のためと思って」
人当たりの良さを象徴したえれんの目が、愛津を眺め直していた。
ひろかの結婚式に呼ばれた時は、祖母の古い着物を借りた。今回はめかし込みたくなって、えれんに相談したのが先週だった。
彼女が愛津に選んだのは、深い青のワンピースと黒いボレロ。英真の好きな店のものというだけあって、タイトな裾にはチャコールグレーでビジューが刺繍してあって、派手すぎず落ち着きすぎず、愛津もすぐ気に入った。
「お義母様が選んだんだ?最高」
「あら嬉しい。私のセンスが?愛津ちゃんが?」
「どっちも」
「模範的ね。そうだ、私、磯部さんと話があるの。ちょっと、良い?」
そう言ってえれんが立ち去ると、愛津は織葉とこの場に残った。