ジェンダー・ギャップ革命
第5章 良人の娘と寝る女
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恋人達が最も睦まやかになる季節が過ぎて、花曇りの空を薄紅色の木々が彩った。
その少し前、英真としづやの数ヶ月に亘って苦悩していた一件が、解決した。百目鬼の住所を調べたえれんが彼女の自宅に押しかけて、話し合いに持ち込んだのだ。
対談は、熾烈を極めた。
親友への疑念を晴らした百目鬼は、えれんこそ愛する男を投獄した仇と知るや、気が触れたかのごとく形相で彼女に襲いかかったという。えれんは誠実な態度で謝罪していた。しかしいよいよ殺意を感じて、外へ出た。
近隣住民達が百目鬼を通報しようとしていなければ、えれんは怪我の一つも負っていたかも知れない。
百目鬼は我に返った。
その数時間後、英真の長らく既読の付かなかった親友とのLINEのトークルームに音信が入った時、愛津もその場に立ち合っていた。
英真もしづやも、憑きものが取れたように明るくなった。
その英真と、毎年恒例の花見の当日、愛津は早朝に落ち合った。
彼女より一歩下がったところに、同じPINK HOUSEの洋服でめかし込んだ愛らしい顔立ちの女が控えていた。年のほどは彼女より二回り上と聞くが、この佐々木という家政婦は、姉と聞いても頷けたはずだ。