ジェンダー・ギャップ革命
第5章 良人の娘と寝る女
インターネットで下調べした一等地にシートを敷いて、佐々木がコンビニエンスストアへ向かうと、まだ薄暗い平地に愛津と英真だけが残った。
「愛津ちゃんって、織葉さんとどういう関係?」
あまりに落ち着いた英真とは真逆に、愛津は口から心臓が飛び出るかと思った。
「何で?!」
「元々、神倉さんと仲良いし。織葉さんも人懐っこいけど、愛津ちゃんには特にー……じゃない?それに去年だっけ、二人でAmavel着て出勤した時は、とうとうえみるんが失恋したかと思った」
「えみるん?」
「私としては、友達としてえみるんには傷付いて欲しくなかったよ。でも愛津ちゃんも友達だし、白状すると、先週も日曜に見ちゃったんだ」
「ああぁ……」
英真から見て、えみるの織葉への情熱は、彼女目当てに演説に集まる女達とは別物らしい。もちろん彼女らの中にも支持者だのファンだのを装って、もっと切実な感情を持て余している場合があるが、それが身近な人間となれば別だ。英真としては、仲間割れの危機を覚えないわけにはいかないという。
「確かに、織葉さんとはよく出かけてるよ。私、お洒落に興味持ったの二十代終わりかけてやっとだったし、織葉さんは詳しくて、お洋服一緒に見てもらったり心強いから」
納得したようにも腑に落ちないようにも見える、英真の顔。そのすぐ向こうに、温かい飲み物で膨らんだレジ袋を下げた佐々木が戻ってくるのが見えた。