ジェンダー・ギャップ革命
第5章 良人の娘と寝る女
「元気な女の子を産んだ。地方に住む男の夫婦が親に決まったわ」
「大丈夫なんですか?貴重な女の子を男なんかに育てさせて」
「自治体の強い◯◯市だから、仕方ないの。まだ女尊男卑の風潮もほとんどなくて」
「そうですか……。良かった」
昭和時代からタイムスリップしてきた見た目のありあは、目鼻立ちや身体つきは申し分ない美女だが、脳内まで生きた化石だ。
ただし、彼女が大越を気にかけるのには理由があった。彼が収容所にいた頃、担当していたのは彼女で、例のごとく前職の職業病を発症した彼女は、彼の話も聞いてやっていたらしい。
大越は、男の中でも特に悪質だ。えれんの金銭的弱みにつけ込んで、結婚して、彼女を手に入れるや亭主関白に振る舞うようになった彼の罪悪は、メンバー内では有名だ。
しかしありあの話す大越は、人物像からして異なる。
家族想いの働き者。彼の勤めていた役所内でも彼のお人好しは有名で、部署内では、面倒事は彼に振り分ければ片付くという常識まであったらしい。