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ジェンダー・ギャップ革命

第5章 良人の娘と寝る女








 有志で募った宴会芸が始まった。 

 各広場が賑わい出すこの時間帯、通りすがりの来園者達を見ているだけでも、男の姿がほとんどない。
 彼らの立場が、年々、弱まっているからだ。テレビやSNSだけが、花見はもちろん彼らの娯楽を完結させる時代も、近そうだ。


「この歌知ってるー!愛津ちゃん、踊ろう」

「えっ?!」


 若松がマイクを握ったのに続いて、スピーカーからイントロ音楽が流れ出すと、えみるが愛津を広場に引っ張っていった。

 今しがた、えれんの四十五年来の親友が飛び込み参加した。特等席を身内だけで楽しんではもったいないと言い出した彼女が、若松に連絡をつけたのだ。

 若松は、着くなり余興の準備に目を留めた。そして彼女はカラオケ音源をダウンロードして、流行りの顔出しをしない歌い手として脚光を浴びている歌い手による楽曲を、披露すると宣言した。

 この歌に、愛津は覚えがあった。昨年、えみると一緒に一日かけて覚えた曲だ。
 動画の中で踊ったのは彼女一人だったが、単身での稽古に気が進まなかった彼女にとって、愛津は役に立ったらしい。あの日の成果を、愛津はここで発揮した。えみるを盗み見ながらというのもあって、ほぼ間違えず、一曲踊りきる頃になると、快適な汗が滲んでいた。

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