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ジェンダー・ギャップ革命

第5章 良人の娘と寝る女




 …──後生よ、泰子。お願いがあるの。



 大越の機嫌を取るための儀式がえれんの腹にその因果をもたらした時、えれんは泰子に懇願した。これから母親になる人間の発想らしからぬ計画に、刹那、泰子は外道でも見下ろす顔を見せたが、彼女がえれんを軽蔑したのはそれきりだった。


「彼のこと愛せなかったのね」


 金銭的援助が必要であれば親族に当てを探せだの公的機関に相談しろだの、公務員である彼女はえれんに指摘しなかった。親友として、彼らがえれんを救わなかった経緯を知り尽くしていた彼女は、自身の力不足を詫びた。


「私に婚約者がいなければ、貴女を無条件で居候させていたわ。それが出来ない代わりに、貴女の娘の母親として、なるべく周りを欺けば良いのね?そうしたら、貴女は生きてくれるのね?」


 当時は五人の仲良しグループだった。四人が未来への希望に浮かれていた中、えれんが最も危なっかしかった。正義感の強い泰子が放っておけなかったのはごく自然で、彼女を含む親友達は、えれんの共犯者であろうと誓った。

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