ジェンダー・ギャップ革命
第6章 異性愛者差別
看守としてのえみるの業務現場を面白可笑しく観賞して、しづやと裸体の遊戯を楽しんだ帰り、英真は収容所の正面玄関で、最近めっきり顔を合わせることの減った親友に鉢合わせした。
玲亜は、人が変わったようにしおらしくなっていた。
異性愛者が差別の対象になったところで、関係ない。つけ込まれやすい人間はどんな社会にいてもつけ込まれるものだ、と強かに構えていたかつての彼女の面影はなく、背中を丸めて歩いていた。
「玲亜、こんなとこで会えるなんて……元気にしてた?」
近くまで寄って安堵した。
彼女は彼女だ。
毎日顔を合わせていた学生時分でさえ、英真から見て玲亜は格好良かった。少し痩せても元が筋肉質だった彼女は、包容力が際立った感じさえあって、やつれた顔に色気を感じる。
ただし、今しがたの質問が荒唐無稽だったのは、英真自身が分かっている。
「元気にしているわけないでしょ」
「……だよね。あ、斎藤さんに会いに来たの?早く出られると良いよね、ここから出られた人いないから、記念すべき一人目になるよ!そうしたらお祝いしないと──…」
「五月蝿い五月蝿い!!」
「っ……」
「英真さ、見せつけてるの?ここの管轄じゃないよね?まだ遊びに来てるの?捕まった人達の気持ち考えたことなんかないでしょ、首に痕付いてるし……結婚だってあたしが先だったのに、何で二人がしてるわけ?」
「先輩、ごめんなさい、痕付けたのは私です。英真のせいじゃないです」
「帰って!あんた達とは関わりたくない!」