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ジェンダー・ギャップ革命

第6章 異性愛者差別



 あちこちから職員達が駆けつけてきた。玲亜を取り押さえながら、彼女らが英真達に哀れみのような目を向ける。


「お二人の友情は拝察しますが、この女は異性愛者です。異性愛者は精神疾患を抱えていることがあります。さしでがましいようですが、お話は無理かと……」

「異常者はお前らだろ!!あたしが何した?!こうきが何した?!答えれるものなら言えコラ!!」



 英真の中で、さっき独房で見てきた女と玲亜が、重なった。

 人間は大切なものを剥奪されて窮地に立つと、自我を失くす。否、自身を繕う余裕を失くして、ただ本性を現すのだと解釈している人間もいる。
 さっきの女は諦念で空っぽになった感情の器に情欲を流し込んでいたが、玲亜は怒りに燃え尽きたそこに新たな怒りを湧かせている。


 えれんに共感して職員になった女達には、ありあや月村のような異性愛者もいる。それでも最近、異性愛者に風当たりが強いのは、世間がそうした傾向だからだ。


 職務室に引きずられていく玲亜をただ見ていることしか出来ない英真の傍らで、しづやがスマートフォンを操作していた。


「お疲れ様です。神倉さん?……今、大丈夫ですか?友達が捕まりそうなので、落ち着いたら解放してもらえるよう指示出しておいていただけますか?…………。はい、……はい。百目鬼さんです。有り難うございます」

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