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ジェンダー・ギャップ革命

第1章 逆襲の女と家畜の男



 事務所を出ると、外は暗闇に落ちていた。

 ビルの回廊の蛍光灯を頼りにして、流れるような動きで戸締まりを終えたえれんが、子供をあやすように片手をえみるの頭に置いた。

 神倉えれんの側近には、二人の女達がいる。一人は神倉織葉(かみくらおるは)、彼女の養女だ。母親は有名な議員と聞く。独立した女性の味方と称する「清愛の輪」のイメージ作りという理由から、男との結婚経験のあるえれんは、義理の娘を代理の代表に立てた。聞いた事情が事情なだけに、別段、彼女が前に出ても良かったのではないかと思う。
 そしてもう一人は、双葉愛津(ふたばあづ)。えみると同じで熱狂的にえれんを支持して入会してきた一般市民の出身だが、おそらく年功序列もあって、彼女が役員、えみるが看守に任命された。


 えれんと三叉路で別れると、えみるは今夜の夕飯の相手をありあに決めた。腕からはフリル、ウエストからはスカートがひらひら踊るシルエットと露出の高いミニスカートのシルエット、ちぐはぐな影絵を歩道に並べて、えみるは賑やかな繁華街を求めて駅へ向かった。







第1章 逆襲の女と家畜の男──完──

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