ジェンダー・ギャップ革命
第6章 異性愛者差別
限りある時間をどこか意識して、愛津達はよく話し、スイーツを賞味する手も休めなかった。
えれんとの外出も楽しい。博識で気立ての良い彼女といると、安らぐ。大人の余裕を持ちながら、多感な少女のようなところも、愛津に親しみを覚えさせる。
だが、織葉との時間に優るものはない。
彼女は、えれんの過去を知っているのか。だとすれば養母の補佐を務めるべく、やはり愛津と今以上の関係になるのは困難ではないか。愛津には、それを悲しむ権利もない。
「そうだ、同窓会どんな感じだった?私そういうの参加したことなくて……」
「疎外感に耐えられなかった。友達いなかったし」
「嘘っ」
「嘘ついてどうするの。みんな旅行行ったり女子会したり、グループ出来上がってたもん」
「あっ、それなら納得かも。私も、ひろか達以外とはあまり会ってなくて……」
そして件の彼女達でさえ、今は疎遠になりかけている。
「織葉さんタイプの人って、大抵、人気だけどな。美人すぎて話しかけにくかったんじゃない?」
「有り難う。愛津ちゃんがいてくれるなら、寂しくないよ。それに愛津ちゃん担当の美容師さんも、仲良くしてくれてるから」
「本当にお世話になってる。この前ヘアサロ行った時、織葉さんによろしくって言われてたんだった」
「そうなんだ、LINEしてるのに律儀ー」
空になったデザート皿にカトラリーを重ねて置いて、織葉が笑った。
愛津も完食したパフェのグラスをテーブルの隅に寄せて、冷めた苺ラテを飲み干す。