ジェンダー・ギャップ革命
第1章 逆襲の女と家畜の男
未だ楯突く姿勢を示す男の右手首をとって、ありあはポケットから手錠を出した。扱い慣れた拘束具の金具を外して、彼の右手の自由を奪った。もう一方の左手首も、同じようにする。
「四つん這いになれ」
これは法に基づく罰則だ。
ありあが彼の首根っこを掴んで四つ脚動物の格好を強制しても、抵抗すれば、彼の方が公務執行妨害になる。
遠くに女達の濡れた声が反響している。男達の慈悲を乞う声、悲鳴もだ。罪の瘴気の充満した畜生達の処理場では、彼らの声は雑音以外の意味を持たない。
どこか生臭い感じも鼻先に覚えながら、それらを特に気に留めないで、ありあは男の尻を掴んだ。
鼠色の囚人服は、ともすれば肌着しかつけていないようにも思うほど、男の尻の硬い手触りを伝えてくる。
もみ、もみ…………
ベシッ……
男の側に膝をついて、大型犬でもあやすつもりで臀部を構ってやっていると、やがて彼から反抗の気色が薄れていった。天井に向けて突き出した尻を振って喘ぐ姿は、早くも人間らしからぬ有り様だ。
「ヒッいん!!ァッ……んゥゥ……ッ」
年のほどは、三十代後半か。無駄な肉づきのない健康的な男の横顔は、間近に見ると誠実そうで、整った髪も、彼の私生活の心がけの良さを裏づけていた。罪状を引き合いに出せば分別のある人物とは思い難いが、いっそ少年の名残りを感じる初々しい彼の媚態は、ありあが興味をそそられるには十分だ。
この男の生殖器は、今、どれだけ滾っているのだろう。