ジェンダー・ギャップ革命
第7章 愛慾という桎梏
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十年以上前、ある飲み会の最中、えれんからの通話を受けた織葉に酔って絡んだ女の声が、電話口に触れた。本人すらすぐ忘れるような軽口は、素面のえれんを挑発して、焦燥させた。
あの子とどういう関係なの?私より貴女を愛している子?私より価値があるんでしょうね。…………
明くる朝、織葉がえれんの誤解を否定すると、彼女は胸の内を明かした。
情けないほど自信が持てない。何も与えられずこの世に生を受けた自分は、無心になって織葉を想い続けたところで、数多の人間に備わる価値には張り合えもしない。手塩にかけて育てた娘をいつまで繋ぎとめられるかも、分からない。
自身の苦悩を吐き出すと、えれんは織葉に縄をかけた。
明かりもつけず、まだ昇りきらない陽の光を頼りにして、彼女は織葉の腕を背に回して、肘から手首を交差させて固定した。彼女に従って、織葉は耐震装置の施してあるラックの前に膝をつく。太ももを縛った縄が、ブラジャーから肉をはみ出させるほど乳房を盛り上げた二本の縄に巻きついて、その先端をえれんがラックの最上部に結びつけると、下着を失くした下半身が開ききった。
ヴーーーーー……
規則正しい機械音が、織葉の腰を撓らせた。クリトリスを確実に狙ったローターは、その一点をなぶりながら、徐々に強度を増していく。えれんの指が、既に濡れきっていた割れ目をいじり出す。